録音した 講義を 3ステップで 復習する 方法
1学期分の講義の録音がスマートフォンにたまり、試験は3週間後。全部を聞き直すのは、計画とは言えません。録音した講義で復習する方法を、3つのステップで紹介します。
成果物と制約の違いは?
録音した講義を、1本ずつ3回に分けて扱います。1回目は、タイムスタンプを3つ控えるだけで、ノートは書きません。2回目は、その印に移動して前後約2分を再生し、それぞれを問いにします。3回目は、何も見ずに問いに答え、答えられなかったものは、答えが話された音声の秒単位の位置に戻って聞き直します。
時間を 確保する 前に、 計算しておく
録音の一覧を開いて、数えてみましょう。50分の講義が12回なら600分、つまり10時間です。1.5倍速で1回聞くと、600÷1.5=400分、6時間40分です。下の計画で講義全体を再生するのは、この1回だけです。すべてを2回目、3回目と聞き直すと3週間がつぶれ、しかも自分を試す材料は何も残りません。
では、この計画の時間を見積もります。1回目が、その1回の通し聞きです。12回分を1.5倍速で400分、3週間なら1日あたり約19分です。そのあとは、すべて印をもとに進めます。1回の講義につき印を3つ、印の前後に2分ずつ聞くなら、3×2=6分です。12回分で6×12=72分。1.5倍速なら、72分は48分になります。3週間に分ければ、1週間に4回分。通常の速度で24分、1.5倍速なら16分です。自分の講義の長さと、実際に使う再生速度で計算し直してください。講義が90分の場合や、1.25倍速で聞く場合は、このサイトの倍速再生の視聴時間を計算するツールで割り算ができます。
- 講義12回×50分600分
- 1回目:1.5倍速で1回通して聞く400分
- 2回目:印3つ×2分×講義12回72分
- 同じ部分を1.5倍速で48分
講義全体を再生するのは、1回目の通し聞きだけです。
72分は、2回目の音声の時間だけです。問いを書いて答えるほうが、聞くより時間がかかります。そこが大事な点です。このページで扱うのは、たまった録音から試験までの3週間です。そもそもきれいな音で録音するには講義の録音のガイドを、キーワード欄とまとめ欄のレイアウトにはコーネル式ノートのテンプレートのページをご覧ください。
同じ 50分を、 3回に 分けて 扱う
それぞれの回には、役割がひとつだけあります。役割どうしは邪魔し合います。印をつける、まとめる、自分を試すを一度にやろうとすると、聞き直しが3時間になります。そこで、1回目はノートを書かない、2回目は講義全体を再生しない、3回目は何も見ない、と決めておきます。
| 回 | すること | できあがるもの | 50分の講義1回分の時間 |
|---|---|---|---|
| 1回目 | ついていける速度で、最後まで再生する。話がわからなくなったとき、スライドにない内容を聞いたときに、その時刻を控える。 | 分と秒で書いた、3つのタイムスタンプ。 | 50分。1.5倍速なら約33分。 |
| 2回目 | それぞれの印に移動し、前後約2分を再生する。その箇所が答えになる問いを、1つ書く。 | シートに3つの問い。それぞれの横にタイムスタンプ。 | 音声は約6分。これに書く時間が加わる。 |
| 3回目 | スライド、ノート、プレーヤーを閉じる。3つの問いに記憶だけで答え、それぞれ○、△、×をつける。 | 問いごとの結果と、次に解く日付。 | 約5分。これに、答えられなかった箇所の聞き直しが加わる。 |
- 1回目必要な箇所に印をつける08:4023:0541:18
- 2回目印ごとに問いを作る促進拡散と能動輸送を分けるものは何か?ポンプが運ぶ2種類のイオンは何で、どんな比率で運ばれるか?ATPがなくなると、ポンプが止まるのはなぜか?
- 3回目何も見ずに答える△×○
まず 秒単位で 印を つけ、 次に 問いを 書く
1回目は、手間のかからない回です。キーボードから手を離し、そのまま流しましょう。
- ついていける速度で録音を再生します。話がわからなくなったとき、書き留めなかった数字を聞いたとき、スライドにない内容を聞いたときは、そのたびに時刻を控えます。紙に書くのは、それだけです。
- 印は3つで止めます。4つ目は、たいてい2つ目と同じつまずきです。印が1つもつかない講義は、00:00と書いて次に進みます。その1時間は、3週間を使うべき場所ではありません。
- 時刻は、プレーヤーの表示どおりに分と秒で書きます。08:40なら1か所に戻れますが、「最初のほう」では、どこにも戻れません。
2回目で、じっくり内容に向き合います。1回目のシートを開き、3つの時刻を順に扱います。
- 印の前後約2分を再生します。印の約30秒前から、約90秒後までです。聞き逃した文は、たいてい、わからなくなったと気づいた瞬間より前に話されています。印より前から聞き始めるのは、そのためです。
- その箇所が答えになる問いを、1つ書きます。正解か不正解かを判定できる答えがある、問いの形にします。「ナトリウム・カリウムポンプが運ぶ2種類のイオンは何で、それぞれどちら向きに、どんな比率で運ばれる?」なら採点できますが、「膜輸送」では採点できません。
- 答えはシートに書きません。問いが3つと、タイムスタンプが3つ。それですべてです。いま答えを書くと、内容を思い出すのではなく、自分の字を見て思い出した気になってしまいます。
08:40まで親指でシークバーを戻すのが、時間のかかる部分です。講義がボイスメモにあって文字起こしができていれば、文字起こしの中で語句を選択すると、その位置に再生ヘッドが移動するので、言葉から文を探せます。この文字起こしには、Appleが条件を定めています。iPhone 12以降であること、サポートページに記載された言語であること、そして一部の国や地域では利用できないことです。2026年9月20日に、Appleのページで確認しました。
講義1回に つき1ページ、 3回かけて 埋める
シート1枚に、講義1回分。1回目でタイムスタンプを、2回目で問いを、3回目で結果と次の日付を書き入れます。コピーして印刷し、講義の順に重ねておきましょう。
講義の復習シート(講義1回につき1ページ) 科目: 講義の回・タイトル: 録音日: 録音の長さ: 印1 時刻 __:__ 問い: 1回目の結果: ○ / △ / × __:__(印の30秒前)から2分間聞き直す 印2 時刻 __:__ 問い: 1回目の結果: ○ / △ / × __:__(印の30秒前)から2分間聞き直す 印3 時刻 __:__ 問い: 1回目の結果: ○ / △ / × __:__(印の30秒前)から2分間聞き直す 聞き直しても答えられなかったこと: 3回目を終えた日: 次の復習日: ○=1週間後 △=3日後 ×=翌日 3回目を終えた日から数え、このシートの印のうち いちばん短い間隔を使う。テキストファイルをダウンロード
講義の復習シート(講義1回につき1ページ) 科目:細胞生物学 講義の回・タイトル:第7回 膜輸送 録音日:10月9日 録音の長さ:50:12 印1 時刻 08:40 問い:促進拡散と能動輸送を分けるものは何か? 1回目の結果: △ 08:10(印の30秒前)から2分間聞き直す 印2 時刻 23:05 問い:ナトリウム・カリウムポンプが運ぶ2種類のイオンは何で、 それぞれどちら向きに、どんな比率で運ばれるか? 1回目の結果: × 22:35(印の30秒前)から2分間聞き直す 印3 時刻 41:18 問い:ATPがなくなると、拡散は続くのに ポンプが止まるのはなぜか? 1回目の結果: ○ 40:48(印の30秒前)から2分間聞き直す 聞き直しても答えられなかったこと: 比率。ATP1つにつき、ナトリウム3つを外へ、カリウム2つを中へ。スライド22。 3回目を終えた日:10月12日 次の復習日:10月13日 印2が×なので、印1の△による3日後や 印3の○による1週間後より、翌日を優先する。テキストファイルをダウンロード
12枚なら、持ち歩ける厚さです。試験の1週間前に×の数で並べ替えれば、最後の1週間の順番が自然に決まります。
3回目:何も 見ずに 答える
タイムスタンプと結果が隠れ、3つの問いだけが見えるようにシートを折ります。スライド、教科書、プレーヤーを閉じます。答えを声に出すか書くかしてから、採点します。
- ○は、何も確かめる前に、答え全体を自分で出せた場合です。答えを見てから思い出したものは、数えません。
- △は、大筋は合っていても、数字、名前、向き、条件のどれかが抜けていた場合です。何が抜けていたかを書いておきます。
- ×は、何も出てこなかった場合です。その行のタイムスタンプで録音を開き、何を聞けばよいかがわかった状態で、2分間をもう一度聞きます。
- シートを置く前に、次の日付を決めます。3回目を終えた日から数えて、○なら1週間後、△なら3日後、×なら翌日です。この3つの間隔は、このシートの決まりで、研究の結果ではありません。疲れているときでも迷わないように、あらかじめ決めてあるだけです。3つの印の結果が分かれたら、いちばん短い間隔を使います。シートは1枚として戻ってくるからです。
- ○1週間後
- △3日後
- ×翌日
記憶から思い出す学習には、裏づけとなる研究があります。認知心理学の研究者グループThe Learning Scientistsが、その効果と、読み直しとの違いをまとめています。その裏づけは方法そのものに対するもので、特定のアプリが受け継ぐものではありません。1.5倍速が自分の教材に合うかどうかは別の問題で、上の計算は分数を数えているだけで、その答えにはなりません。
講義がすでにPhraseのノートになっていれば、音声がタイムスタンプつきの文字起こしとともに添付されているので、シートの×は、ファイルの先頭ではなく、その要点が話された秒に戻れます。問いを確かめたら、同じノートから暗記カード、クイズ、マインドマップも作れます。AI機能はProに含まれ、現在の利用上限はアプリ内に表示されます。

3つのどれを選ぶかは、それ自体がひとつの判断です。学習ツールのページでは、見直したノートからそれぞれの形式で何ができるかを説明しています。
よく ある 質問
録音した講義を、全部聞き直さずに勉強するには? 1回目は印をつけるために聞き、あとは印の前後だけを聞きます。その1回を聞き終えたら、10時間分の録音は72分の音声に絞られます。講義1回につき、2分の区間が3つです。浮いた時間は問いに答えることに使います。自分が何をわかっていないかを教えてくれるのは、その作業です。
動画の講義にも使えますか? はい、1つだけ変えれば使えます。タイムスタンプの横にスライドの番号も書いておきます。動画では目で見て答えがわかる問いもあり、90秒の音声より、図を見るほうが早く確かめられるからです。そのほかは同じです。印は3つ、問いは印ごとに1つ、3回目は何も見ずに答えます。
代わりに、講義ノートを暗記カードにしたほうがよいですか? 両者は組み合わせて使えます。このシートで、どの箇所をカードにする価値があるかを決め、カードは一度答えられなかった問いから作ります。講義を最初から最後までカードにすると、すでに知っていることばかりのカードの束になります。カードの問いの書き方と答えの確かめ方は、暗記カードのガイドで紹介しています。
AIに、講義から暗記カードを作ってもらえますか? 文字起こしから下書きはできますが、その下書きは自分で見直す必要があります。文字起こしを読むモデルには、自分がどの文を聞き逃したかはわかりません。それがわかるのは、自分がつけた3つの印です。文字起こしで下書きを作り、印に対応するカードだけを残し、言い回しは録音と照らし合わせて確かめましょう。
出典と 編集上の 注記
出典は2026年9月25日に確認しました。Appleの機能の手順は、下にリンクしたAppleの最新のドキュメントに沿っています。条件はiOSのリリースごとに変わります。
- The Learning Scientists: Retrieval practice 記憶から思い出す学習には裏づけとなる研究があり、その裏づけはツールではなく方法に対するものだ、という記述の根拠(英語)。
- Cornell Learning Strategies Center: The Cornell Note-taking System 3回目が従う、暗唱と復習のステップ。内容を隠して記憶から答え、そのあとで確かめる(英語)。
- Apple:iPhoneでボイスメモの文字起こしを表示する 文字起こしの中で語句を選択すると、その位置に再生ヘッドが移動すること。上で引用した条件(iPhone 12以降、Appleが記載する言語、一部の国や地域では利用できないこと)も含む。2026年9月20日に確認。
