文字起こしから 議事録に まとめる 方法
片方のウィンドウに文字起こし、もう片方に空の議事録。1つ目のウィンドウの大半は、2つ目には入りません。文字起こしから議事録にまとめる方法を、実例で紹介します。
何が決まったか
文字起こしを議事録にまとめるには、一度通して読み、4種類の行だけを残します。決定事項、名前のわかる人が引き受けた作業、答えの出なかった問い、決定事項の理解に欠かせない背景です。それ以外は削ります。そのうえで、送る前に、名前、数字、金額、日付のすべてを音声と照らし合わせます。
文字起こしを 一度 読み、 4種類の 行に 印を つける
1時間の話し合いを文字に起こすと1万字を超えますが、議事録にするのはせいぜい千字ほどです。1回目の作業は、削ることです。まだ何も書きません。
- 編集せずに、最初から読みます。大事な行の横に、記号を1つつけます。決定事項は「決」、ToDoは「作」、未解決の論点は「問」、背景は「背」です。
- 「作」の行にすべて戻り、同じ箇所に3つのものがあるかを探します。名前のわかる人、完了したとわかる成果物、日付です。3つのうち何が欠けているかを控えます。
- 印のない行をすべて削ります。あいさつ、音声の確認、搬入口のドアについてのやりとりから削ります。
- 印をつけた行を、それぞれ先頭に区分を書いた短い1行に書き直します。発言者の名前は、担当や数字がそれに左右される場合だけ書きます。
- 4つのリストを、使っている議事録の書式の見出しの下にまとめます。
- 18:09Marco Kerrowの見積もりが届きました。月4,180で、今の支払いより9%ほど高いです。背景
- 18:52Dana それなら、切り替えは11月まで見送りましょう。決定事項
- 19:10Marco そういえば、搬入口のドアって誰か直しました?記録しない
- 19:41Dana 11月の数量で計算し直して、金曜までに皆さんに送ります。ToDo
- 20:47Marco 私でもPriyaでも、次に先方と話すほうが伝えます。未解決の論点
文字起こしの形式は、一つではありません。ビデオ会議からは、番号のついた字幕が、開始と終了の時刻を別の行にした形で書き出されます。1回目の前に字幕を文に戻しておかないと、同じ文に4回印をつけることになります。
文字起こしがビデオ会議の字幕ファイルで届いたなら、先にSRTをテキストに変換するツールにかけておきます。そうすれば1回目に読むとき、番号つきの字幕ではなく文章として読めます。
文字起こしの 抜粋と、 そこから できた 議事録の 行
下は、2026年9月22日(火)に録音した仕入れ先レビューの抜粋で、ファイルの18:04から20:47までの部分です。発言は10行。議事録に残るのは6行で、そのうち2行は、別の1行を説明するためだけにあります。
| 文字起こしの行(18:04〜20:47) | 残す? | 議事録での書き方 |
|---|---|---|
| Dana 18:04:「じゃあ、みんな入ってますか? Marco、少し音が途切れてますよ」 | 残さない | なし。接続についてのやりとり。 |
| Marco 18:09:「今は大丈夫です。それで、えー、Carrowの見積もりが届きました。月4,180で、えっと、今の支払いより9%ほど高いです」 | 残す | 背景:Kerrowの見積もりは月4,180で、現在の支払額より約9%高い(Marco)。文字起こしでは仕入れ先が「Carrow」と表記されているが、音声では「Kerrow」。どちらの数字も録音で確認済み。 |
| Priya 18:31:「9%ですね。うーん、10月31日の四半期末までは、それは承認できません」 | 残す | 背景:2026年10月31日の四半期末までは、Priyaは値上げを承認できない。 |
| Dana 18:52:「わかりました。それなら、切り替えは11月まで見送りましょう」 | 残す | 決定事項:梱包の切り替えを11月まで見送る。理由:この四半期内には値上げを承認できないため。 |
| Marco 19:10:「そういえば、搬入口のドアって誰か直しました? 8月から引っかかってるんですけど」 | 残さない | なし。誰も引き受けなかった脱線。この記録ではなく、次の議題に入れる。 |
| Dana 19:41:「梱包の話に戻ります。11月の数量で計算し直して、金曜までに皆さんに送ります」 | 残す | ToDo A1:11月の数量で梱包コストを計算し直し、共有する。担当者:Dana。期限:2026年9月25日(金)。会議の日付から割り出したため、要確認の印をつける。 |
| Marco 20:02:「なんか、2社で半分ずつ発注を分けるって手もありますよね」 | 次の行とセットで | 単独では何も残らない。反応のない提案は、決定事項ではない。 |
| Priya 20:15:「Kerrowは5,000個未満だとその価格を維持しないので、分けると割引がなくなります」 | 残す | 却下した案:2社で発注を分ける。理由:見積もりの価格には5,000個以上が必要(Priya)。 |
| Dana 20:44:「保留にするって、Kerrowには誰から伝えますか?」 | 次の行とセットで | 下に記録する、未解決の論点の始まり。 |
| Marco 20:47:「私でもPriyaでも、次に先方と話すほうが伝えます」 | 残す | 未解決の論点:切り替えの見送りを、誰がKerrowに伝えるか。候補:MarcoかPriya。次のステップ:合意なし。 |
右の列だけを読んでも、記録として成り立ちます。時間に追われると削られがちなのが、最後の行です。残しておきましょう。問いの横に「合意なし」とあれば、もう一度その問いが出されます。そこを空欄にしておくほうが、自分の机で選んだ名前を書くより、読み手の役に立ちます。
このページで扱うのは、各欄に何を書くかです。会議の基本情報や訂正の行を含む白紙のレイアウトは、議事録テンプレートのページにあり、ここで書いた行はそのまま入れられます。
どの 行にも 当ては める ルールを コピーする
文字起こしから議事録へ:取捨選択のルール 残す 1. 名前のわかる人が引き受けたこと。作業、担当者、日付を記録する。3つのうち欠けているものには「要確認」と書く。 2. 却下された案と、その理由。理由を知らない読み手は、同じ案をまた出してくる。 3. 声に出して言われた数字、金額、割合、数量、日付のすべてと、言った人。 4. 答えが出なかった問いと、誰がいつまでに答える予定か。誰も引き受けていなければ「合意なし」と書く。 5. 決定事項を理解するのに欠かせない、1〜2文の背景。 削る 6. あいさつ、音声の確認、遅刻のおわび、締めのあいさつ。 7. 繰り返し。同じ論点が3回出たら、いちばんわかりやすい1回を残す。 8. 誰も反応しなかったアイデアと、誰も引き受けなかった不満。次の議題に回す。 9. 固まらなかった言い回し:「〜できるかも」「たぶん」「誰かがやるべき」。あとで文字起こしの中で決着するか、未解決の論点になる。 10. 参加者の意図についての自分の解釈。理由が口に出されていなければ、書かない。 書き直す 11. 1項目につき1行、つなぎ言葉は入れない。先頭に区分を書き、その区分の項目を続ける。 12. 相対的な時間は、カレンダーの日付にする。「金曜」「月末」は日付まで書き、要確認の印をつける。 13. 否定と条件は、言葉どおりに残す:「〜の場合に限り」「〜のあとで」「まだ〜ない」「〜でない限り」。 14. 2人の発言を1つの約束にまとめない。約束を、近くに出てきた名前に移さない。 送る前に 15. 名前、数字、金額、日付のすべてを、音声と照らし合わせる。 16. 文書に「下書き(訂正待ち)」と記し、確定させる日付を書く。テキストファイルをダウンロード
ルールは、使う順番に並んでいます。削る、書き直す、音声で確かめる。ルール6より前にルール15を実行すると、これから削る行に注意を使うことになります。
決定事項と ToDoを 見分ける
| 区分 | 文字起こしでの見分け方 | 間違えやすい点 |
|---|---|---|
| 決定事項 | グループが選択を決め、次の話題に移る。主語が複数で、個人の約束を伴わない:「切り替えは11月まで見送りましょう」。1人が「〜したほうがいいと思う」と言っただけなら、2人目が同意するまでは提案。 | 誰も反対しなかったために、提案が決定事項として記録される。1人が話したあとの沈黙は、同意ではない。2人目の声か、司会者が話題を締めたかを確かめる。 |
| ToDo | 名前のわかる人が、自分の作業として引き受ける:「計算し直します」「それは任せてください」。誰かに割り当てられた作業は、その人が返事をした時点でToDoになる。 | 近くで名前が出たというだけで、担当者が決められる。名前を挙げられた人が返事をしていなければ、未解決の論点のまま。 |
| 未解決の論点 | 問いが出たまま話が進む。あるいは2人が申し出て、どちらにも決まらない:「私でもPriyaでも」。 | 議事録を書く人が、こっそり決めてしまう。2人の候補のどちらかを自分の机で選ぶと、同意していない担当者が生まれる。 |
| 背景 | 上の3つを、その場にいなかった人が読んでもわかるようにする事実、数字、制約。 | 自分の推論で水増しされる。書くのは口に出されたことだけで、言った人の名前を添える。 |
ここでの間違いは、決まった方向に起こります。会話の中で近くに名前が出ていたために、提案がToDoになってしまうのです。ToDoのリストを読み返し、1行ずつ、担当者が実際に何と言ったかを確かめましょう。文字起こしにその言葉がなければ、その行は未解決の論点です。

インタビューの文字起こしでは、同じ問題を印で扱います。はっきりしない箇所には、言葉が確定するまで(聞き取れず)の印を残します。議事録も、この習慣を借ります。見た目は整っていても間違っている欄より、空欄が見えているほうが役に立ちます。
名前、 数字、 金額、 日付を 音声と 照らし合わせる
文字起こしに残るのは話された言葉で、その意図まではほとんど残りません。テキストそのものから取り戻せる細部は4種類あり、4つとも確かめる価値があります。名前、数字、金額、日付です。
文字起こしの誤りが害をもたらすのは、この4つです。名前を聞き間違えれば、作業が別の人に渡ります。数字の桁が1つ落ちれば、4,180が418になります。「4日(よっか)」と「8日(ようか)」は、早口だとほとんど同じに聞こえます。そして期限は、人が行動のよりどころにする欄です。
- 名前文字起こし: Carrow音声: Kerrow修正
- 金額文字起こし: 月4,180音声: 月4,180一致
- 数字文字起こし: 9%ほど音声: 9%ほど一致
- 日付文字起こし: 10月31日音声: 10月31日一致
録音全体を聞き直す必要はありません。iPhoneのボイスメモでは、「文字起こしを表示」を選択し、文字起こしの中で語句を選択します。その場所に再生ヘッドが表示されるので、前後の文を聞いて次に進めます。「メモ」の録音では、「文字起こしを検索」が、その録音の中で同じ役割を果たします。聞きたいテキストをタップすれば、その位置からオーディオが再生されます。どちらも、文字起こしがあることが前提です。Appleは、文字起こしをiPhone 12以降と、記載された10言語に限っており、一部の国や地域では利用できないとしています。2026年9月20日に、Appleのサポートページで確認しました。
Phraseなら、この確認の流れが1つのノートの中で完結します。録音や読み込んだ音声ファイルは、処理が終わると、タイトル、要約、文字起こし、整理された本文のあるノートになります。元の音声は、タイムスタンプつきで検索できる文字起こしとともに添付されたままなので、4つの確認を元の音声で行えます。そこから、アシスタントに、自分で送るまとめのメールを下書きしてもらったり、同じノートを1ページの資料にしたりもできます。録音やファイルの処理は、クラウドで行われます。

議事録を 書きながら 出てくる 質問
録音から議事録を書くには? まず文字起こしを用意し、そのテキストに上のルールを当てはめます。音声から直接書くと、欄ごとに前後を行き来することになります。文字起こしがあれば、1回目で削り、2回目で書き直し、4つのことだけ音声に戻って確かめます。
録音せずに会議のメモを取るには? 区分ごとに4つのリストをその場で書き進め、話題が移る前に、決定事項を声に出して確認します。声に出して確かめる作業は、録音があれば後回しにできる部分です。1時間後に記憶で埋めるより、空欄のままにしておきましょう。
会議のまとめメールの例:いちばん大事な決定事項を1つ最初に書き、次にToDoのリストを、担当者、作業、日付の順に1行ずつ並べます。続いて、未解決の論点と、答えがほしい日付を書きます。最後に、訂正の締め切りを書きます。「木曜までに訂正をお送りください。それ以降は、これを記録とします」
議事録とメモの違い:メモは自分のためのもので、その場にいたのだから雑でもかまいません。議事録は、ほかの人が行動のよりどころにし、何か月もあとに引用する記録なので、どの行にも担当者、日付、理由のどれかがつきます。ほかの人が動く必要が出てきたら、議事録を書きましょう。
出典と 編集上の 注記
出典は2026年9月25日に確認しました。Appleの機能の手順は、下にリンクしたAppleの最新のドキュメントに沿っています。条件はiOSのリリースごとに変わります。
- Appleサポート:iPhoneでボイスメモの文字起こしを表示する 文字起こしの中で語句を選択すると、その場所に再生ヘッドが表示されること。文字起こしの条件(iPhone 12以降、言語、地域)。2026年9月20日に確認。
- Appleサポート:iPhoneの「メモ」でオーディオを録音して文字に起こす 1つの録音の中での「文字起こしを検索」と、聞きたいテキストをタップしてその位置からオーディオを再生する操作。2026年9月20日に確認。
